高齢ウサギの麻酔

さらに、高齢ウサギの麻酔となると、よりそのリスクが高くなります。

加齢による臓器機能低下や代謝変化によって、麻酔薬の影響を受けやすくなるためです。
以下のような要因が関係しています。

  1. 心血管系の機能低下
    加齢による心筋の収縮力低下と血管の弾力性低下により、麻酔薬の影響で急激な血圧低下、心拍数の変動、ショックが起こる可能性があります。
  2. 呼吸機能の低下
    加齢に伴い肺の柔軟性が失われることで、ガス交換の効率が悪くなり、酸素供給が不十分になりやすいです。
    麻酔薬は呼吸抑制作用があるため、低酸素状態に陥るリスクが上がります。
  3. 肝臓の機能低下(麻酔薬の代謝遅延)
    肝臓は麻酔薬を代謝・解毒する重要な臓器ですが、高齢になると肝機能が低下し、麻酔薬の分解が遅くなることがあります。
    そのため、麻酔からの覚醒が遅れることや、麻酔薬の副作用が長引く可能性があります。
  4. 腎臓の機能低下(排泄能力の低下)
    腎臓は血液をろ過し、老廃物や麻酔薬を排出する役割がありますが、加齢とともに腎血流量が減少し、排泄能力が低下します。
    これにより、麻酔薬が体内に長く残り、副作用が強く出る可能性があります。
    血圧が低下すると腎臓の血流が減少し、急性腎障害を引き起こすリスクが上がります。
  5. 免疫力の低下(感染症リスクの増加)
    高齢になると免疫機能が低下するため、手術後の感染症や創傷治癒の遅れが問題になることがあります。
    麻酔によって免疫が一時的にさらに抑制されるため、感染リスクが増加します。
  6. 体温調節機能の低下(低体温リスク)
    高齢ウサギは筋肉量が減少しているため、体温を維持する能力が低下しています。
    麻酔中は熱産生が低下し、さらに血管拡張による放熱も加わるため、低体温になりやすいです。
    低体温は麻酔の覚醒を遅らせ、免疫機能や循環機能を低下させます。
  7. 併発疾患の影響(持病の悪化)
    高齢ウサギは持病を抱えていることが多く、麻酔が病状を悪化させるリスクがあります。

高齢ウサギの麻酔は心血管・呼吸・肝腎機能の低下、免疫力の低下、低体温リスク、併発疾患の影響などにより、若いウサギよりもリスクが高くなるため、一層の注意が必要です。

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