高齢ウサギの麻酔
さらに、高齢ウサギの麻酔となると、よりそのリスクが高くなります。
加齢による臓器機能低下や代謝変化によって、麻酔薬の影響を受けやすくなるためです。
以下のような要因が関係しています。
- 心血管系の機能低下
加齢による心筋の収縮力低下と血管の弾力性低下により、麻酔薬の影響で急激な血圧低下、心拍数の変動、ショックが起こる可能性があります。 - 呼吸機能の低下
加齢に伴い肺の柔軟性が失われることで、ガス交換の効率が悪くなり、酸素供給が不十分になりやすいです。
麻酔薬は呼吸抑制作用があるため、低酸素状態に陥るリスクが上がります。 - 肝臓の機能低下(麻酔薬の代謝遅延)
肝臓は麻酔薬を代謝・解毒する重要な臓器ですが、高齢になると肝機能が低下し、麻酔薬の分解が遅くなることがあります。
そのため、麻酔からの覚醒が遅れることや、麻酔薬の副作用が長引く可能性があります。 - 腎臓の機能低下(排泄能力の低下)
腎臓は血液をろ過し、老廃物や麻酔薬を排出する役割がありますが、加齢とともに腎血流量が減少し、排泄能力が低下します。
これにより、麻酔薬が体内に長く残り、副作用が強く出る可能性があります。
血圧が低下すると腎臓の血流が減少し、急性腎障害を引き起こすリスクが上がります。 - 免疫力の低下(感染症リスクの増加)
高齢になると免疫機能が低下するため、手術後の感染症や創傷治癒の遅れが問題になることがあります。
麻酔によって免疫が一時的にさらに抑制されるため、感染リスクが増加します。 - 体温調節機能の低下(低体温リスク)
高齢ウサギは筋肉量が減少しているため、体温を維持する能力が低下しています。
麻酔中は熱産生が低下し、さらに血管拡張による放熱も加わるため、低体温になりやすいです。
低体温は麻酔の覚醒を遅らせ、免疫機能や循環機能を低下させます。 - 併発疾患の影響(持病の悪化)
高齢ウサギは持病を抱えていることが多く、麻酔が病状を悪化させるリスクがあります。
高齢ウサギの麻酔は心血管・呼吸・肝腎機能の低下、免疫力の低下、低体温リスク、併発疾患の影響などにより、若いウサギよりもリスクが高くなるため、一層の注意が必要です。