食べなくなったとき

愛兎の食欲が落ち、それが数日続くと、飼主さんは焦ります。

すると決まって、こんな言葉を耳にします。
「今まで一度も与えたことはないんですけど、〇〇なら食べてくれるかと思ってあげてみました」

少し想像してみてください。
ウサギは消化機能の順応能力が高い動物ではありません。
雑食性の人間のように、何でも食べて消化できるわけではないのです。

実際、ペレットの銘柄を変えただけでも順応できず、体調を崩してしまうことがあります。
そんな動物に、ただでさえ体調を崩しているとき、これまで一度も食べたことのないものを与えることに、危険性を感じませんか。

もちろん、新しいものや嗜好性の高いものに興味を示して食べることはあるでしょう。
しかし、ウサギ自身は「今は病気だから控えよう」と判断できる動物ではありません。
無理をして口にした結果、消化器にさらに負担がかかり、かえって回復を遅らせてしまう可能性もあります。

「食べないから何か新しいものを試す」のではなく、「体調を崩す前から安全に食べ慣れているものを与える」
これが、食欲不振のウサギに対する基本的な考え方だと私は思っています。
すると飼主さんは、よくこう反論します。
「でも、食べないんだから、仕方なくやったんです」

私はこう答えます。
「往生際の悪いことをせず、早く受診することです」

食べさせたい一心だった気持ちは分かります。
でも、その行動に理屈が伴っていなければ、善意であっても結果的には害になることがあります。
「何か食べてくれれば安心」という発想ではなく、「今の体調で安全なことは何か」という視点で考えてください。

食欲が落ちていること自体が、すでに異常のサインです。
その原因を調べ、適切な治療を始めることが、愛兎を救う一番の近道なのです。

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