顎下膿瘍

飼主さんにとって驚きかもしれませんが、ウサギの顎下膿瘍を診る欧米の獣医師は、時に安楽死を検討することがあるそうです。

10年以上前、OXBOW社の社長からその話を伺った記憶があります。
そして、今日ChatGPTに尋ねたところ、「はい、それは本当です」と確認できました。
病気の特性や治療の難しさ、侵襲的な治療がウサギに与える負担、飼主さんの経済的負担、そしてウサギの生活の質(QOL)を考慮した結果、そのような判断に至る場合があるということでした。

なぜこの話をしたかというと、日本でも顎下膿瘍に対する治療状況は似ている部分がありますが、「安楽死」を受け入れる、あるいは想定する段階まで至るケースは少ないように思います。
多くの獣医師や飼主さんは、最期まで治療を続け、愛兎の苦痛を少しでも和らげたいと考えています。
そして、そのためにすべてを捧げる覚悟を持っている飼主さんが多いという印象です。

たとえば、当院の7歳オスロップ・ざらめちゃんは、不正咬合から顎下膿瘍を併発し、なんと7年にわたり治療と管理を続けています。
この長期間の治療を支えているのは、ざらめちゃんの飼主さんです。
飼主さんは、私の説明に耳を傾け、悪い情報も受け止める冷静さを持ち、そして何よりも私に対する信頼を寄せてくださっています。
その信頼があるからこそ、現在も治療が続けられ、これからも前向きに取り組んでいけるのだと感じています。

獣医師として、長期にわたって診ている患者さんは、その最期まで見届けたいという気持ちがあります。
それが、スタッフを含めた私たちの正直な気持ちです。

ざらめちゃん、そして飼主さん、一緒に10歳を目指しましょう。

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