迷わない
前回述べたこととは矛盾するようですが、いくら症状を隠すウサギでも、一見して異変を感じ取れるケースもあります。
例えば、明らかな出血を伴う外傷、突発的な神経症状、あるいはウサギ自身が隠しきれないほどの激しい苦痛を伴う病気などです。
診療の現場で、私が「これは明らかにしんどそうだ」と感じるのは、腸閉塞と尿道結石です。
本来、ウサギは痛みを隠そうとする動物ですが、これらの病気は「隠しきれないほどの苦痛」を伴うため、どちらも一刻を争う緊急疾患です。
診断と同時に、リスクを伴う緊急手術を実施することもあります。
この2つの病気に関しては、飼主さんが「しばらく様子を見ていました」などと言おうものなら、私は相当な勢いで説教してしまうと思います。
「そんなことを言われると、ちゃんと気づけるかどうか心配……」
大丈夫です。
毎日ウサギの世話をしている飼主さんであれば、必ずいつもと違う様子に違和感を覚えるはずです。
まともな感性で接していれば、それらの異変に気づけるので安心してください。