診断的治療

診断的治療とは、診断と治療を同時に行う医療行為のことを指します。
つまり、患者の病状が不明確な場合に、治療を試みながらその反応を観察し、診断の確定に役立てる方法です。

ヒトの診療と異なり、動物診療では患者自身から直接症状を聴取することができません。
そのため、診断的治療に頼るケースが多くなります。
特に、イヌやネコと違い、発声が無く表情の変化も乏しいウサギの診療では、その傾向がより顕著です。
さらに、ウサギは病気の進行が早いことが多いため、診断が確定するまで待っていると病状が悪化する可能性があります。
そのため、早期に治療を開始する必要があり、診断的治療が有効な手段となります。
また、治療の反応によって診断が確定できれば、不必要なストレスのかかる検査を回避できるうえに、結果的に治療費を抑えられるという利点もあります。

ただし、診断的治療を行うには飼主さんの理解が欠かせません。
厳密には、診断的治療は「試験的に行う」ものなので、その目的をしっかり説明し、経過観察をお願いします。
飼主さんに治療の経過を細かく記録してもらうことで、診断の精度を高めることができます。

――と、いろいろ小難しいことを述べましたが、例えば「うっ滞」を疑う診察では、私はまず注射治療と内服薬を処方します。
注射は即効性があるため、「これで1日様子を見て、食べ始めたら内服薬を飲ませて経過を見てください」「逆に、明日になっても改善しなければ、別の病気の可能性も考えて検査したいので再診をお願いします」と説明します。
こうして、翌日の治り具合から診断を進める、というわけです。

「えっ! そんないい加減なことやっていたの?」と驚かれましたか?

いえいえ、実は獣医師が施す治療、特にウサギ診療は、診断的治療の割合が多いと思いますよ。

「そんなの勉強不足の言い訳だろ!」

いや〜、そんなことないと思うんだけどなぁ〜。。。。

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