診断的治療

愛兎が食べなくなって来院したとします。

飼主さんからの聴取や実際の診察によって、私が「うっ滞」と診断したとします。
その診断に基づいて、私は治療を行います。
しかし、その診断と治療が本当に正しかったかどうかは、結果が出るまではわかりません。
つまり、患者が元気になり、再び食べ始めて初めて、「今回の診断と治療は正しかったのだろう」と判断できるわけです。

もし患者であるウサギが自分の症状を訴えることができたなら、
「ちがう、ちがう! 原因はそこじゃないんだって! このヤブ医者っ!」
と、私に不満を訴えることもできるでしょう。
しかし、当然ながらそれは無理な話です。

治療後、一定時間が経過し、症状の改善という結果が伴って初めて、その診断が正しかったと判断されます。
これを「診断的治療」といいます。
患者との意思疎通が可能なヒトの医療でも、たとえば精神科・心療内科や、整形外科・ペインクリニックなどでは、治療への反応を診断の手がかりとして用いることがあります。

「これで治りますかね?」
飼主さんからそう尋ねられたとき、
「治したいと思って治療しました。でも、とりあえず一日様子を見て、ダメだったら明日また連れてきてください」
と答える私。
なんとも心細い獣医師だと思われているかもしれません。

でも、患者本人から直接症状を聞くことができない。
さらに、その代弁者である飼主さんの証言も、決して常に的確とは限らない。
そんな限られた情報のなかで診断し、治療を行っているわけですから、致し方ない部分もあるのです。

では、私の治療の勝率はどうなのか?
これまた、良いのか悪いのか、その判断基準自体がなかなか難しいところです。
ただ、この仕事をなんとか潰れずに30年続けてこられました。
それなりに需要があるということだと勝手に解釈して、今日も頑張っている次第です。

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