老齢の初診は

ウサギは自然界では食われる側の生きもの、すなわち被食者です。

彼らは肉食動物(捕食者)に捕獲されそうになると、自ら血中アドレナリンを上昇させ「闘争・逃走反応」を促進させます。
この反応は、危機的状況に直面したときに生存の可能性を高めるため、体が自動的に起こす生理的変化の一部で、以下のような効果があります。

<身体機能の最大化>
アドレナリンが上昇すると、心拍数が上がり、血液が筋肉や重要な臓器に送り込まれる。
これにより、瞬発的な動きやエネルギーの供給が向上し、被食者が素早く逃げたり、防御したりできる可能性が高まる。

<酸素供給の増加>
呼吸数が増え、血中に酸素が多く供給されることで、筋肉や脳が必要なエネルギーをすぐに使えるようになる。

<注意力の向上>
アドレナリンの分泌は、警戒心や反応速度を高め、捕食者の動きや環境の変化に素早く気づく能力を向上させる。

<痛みの抑制>
アドレナリンは痛みを一時的に抑える効果もあり、負傷しても動き続けられるようになる。

以上、アドレナリンの上昇は、被食者が捕食者から逃れたり、最悪の場合でも抵抗できる最後のチャンスを与えるための身体防衛メカニズムです。
そして、被食者が「もう逃げられない」と感じて起きる極度のストレスによるショック状態により、交感神経を過剰刺激し、心停止、すなわち死に至ることもあるのです。

先ず、ウサギは、元来捕食者のイヌ・ネコと異なり、そういう性質を備えた生きものだということを、飼主さんには認識しておいてほしい。

その上で、”老齢” で “初診” のウサギが来院したら、どの程度私が警戒して、診察にあたるのか想像してほしい。
仮に、初動で、どんな人柄なのか、互いに知り得ない初見の飼主から、全くそれらの共感が得られなかったら、私の警戒心は更にレベルが上がることを理解してほしい。
そして、そんな飼主と話し合っても拗れたままなら、残念だが診察お断りもやむなし。

診てあげられないのは残念だが、診察中に患者さんに死なれるよりはいい。

飼主さんが求める検査等は、先ずはその必要性の有無を検討・説明し、ある程度のリスクを理解してもらった上で、細心の注意を持って実施しようと心がけています。
それは、私の過去の苦い経験がそうさせているのです。

理解できない飼主さんとはお別れです。
申し訳ありませんが、私も二度と会いたくありません。

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