枝豆

私より年配のご夫妻が、大切に愛情を込めて飼っているウサギを連れて来院されました。

「ペレットは食べるけど、牧草を食べない状態が3日ほど続いている」とのこと。
ところが診察台で体重を測ると、以前の健診時よりむしろ増えているのです。

「あれ? おかしいな……」

私が首をかしげると、ご主人が衝撃の告白。

「枝豆を与えてるんですけど、大丈夫ですよね」

私より上の世代には、「ウサギにはいろいろなものを食べさせる」という感覚が半ば常識だった時代があります。
人間の食事の残り野菜はもちろん、パンなどを与えることも珍しくありませんでした。
おそらくご主人も、晩酌の肴の枝豆を愛兎に分けていたのでしょう。

しかもウサギは美味しいものを覚えるのが早い。
喜んでおねだりするものだから、つい量も増えていったのだと思います。
それでは太りますし、お腹も重たくなって牧草の食べが悪くなります。

もちろんご主人に悪気はありません。
診察を終え、待合室へ戻ったご主人が、
「いや〜、枝豆食べさせたのが失敗だったか〜」
と大きな声で話しておられました。

その言葉に、周囲の飼主さんたちが一瞬固まったのを見て、不謹慎ながら少し微笑ましい気持ちになってしまいました。

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