慎重に実施しています
現在、当院では臼歯の不正咬合に対する処置を、主に無麻酔で行っています。
麻酔の有無にはそれぞれ利点・欠点がありますが、私自身の経験から、無麻酔はウサギの身体にも、飼主さんの経済的負担にも比較的やさしい方法であると考え、採用しています。
最近、この地域で同じく無麻酔で臼歯処置を行ってこられた先生が引退されたようで、その先生の元で診てもらっていた患者さんが、当院を訪れてくださるケースが続いています。
その先生も、長年の技術と経験を積み上げて診療されてきたことと思います。
私はその姿勢に深く敬意を抱いています。
ただし、これは何かの講習やマニュアルで一律に学べる技術ではなく、個々の獣医師が自らのやり方を構築してきた分野でもあるため、私の方法とは違って当然ともいえます。
当院で初めて処置を受けるウサギと飼主さんにとって、見慣れない手技・方法に不安を感じるのは自然なことです。
そのため、私はできる限り説明を加えながら、飼主さんにも実際に処置の様子を見ていただきながら進めるようにしています。
そして処置後には必ず、「もしこれで改善が得られなければ、やり直しさせていただきますので、恐縮ですが再診してください」とお伝えしています。
遠方から情報を集め、わざわざ来院してくださる飼主さんには、本当に頭が下がる思いです。
幸いなことに、これまで「やり直し」が必要になったケースは記憶にありませんが、引き続き気を引き締めて診療にあたっていきます。
患者さんからすれば、「今までとは違う獣医師」「違う処置法」という状況は、相当な精神的ストレスになるだろうと想像します。
だからこそ、処置が無事に終わり、少しずつ当院の診療スタイルに馴染んでいただけることが、今後のより安全でスムーズな診療につながると信じています。