メモにとる行為
30年この仕事をしてきて感じることがあります。
経験的なものなのか、単なる私の偏見なのかは分かりませんが、診察中に一心不乱にメモを取り続ける飼主さんが、私はあまり好きではありません。
メモを取っている飼主さんの多くは、診察台の上の愛兎にも、私の表情や説明の様子にもほとんど目を向けず、ひたすらノートに書き続けています。
私は「きちんと理解してもらえているのだろうか」「納得してくれているのだろうか」と手応えがつかめないまま説明を続けることになります。
そして次回来院されたとき、残念ながら説明した内容がほとんど身についていない、というケースも少なくありません。
正直に言えば、
メモを取ること自体が目的になってしまい、肝心の会話が頭に入っていないのではないかと感じることもあります。
ですから私は、こうお伝えしています。
「メモは取らなくていいです。まず会話に集中してください。忘れるのが心配なら、録音してくれて構いません」
ただし、ここで大事なことがあります。
黙って録音するのは、やはりマナー違反です。
たとえば
「説明を後で確認したいので録音してもいいですか?」
「家族にも説明を共有したいので少し動画を撮ってもいいですか?」
この一言があるかどうかで、受け取る印象は全く違います。
もちろん、録音や動画を自分や家族のために確認する目的で使うのであれば問題ありません。
しかし、それをSNSやインターネットに公開するとなると話は別です。
プライバシーや名誉の問題など、法的トラブルにつながる可能性があります。
本来こんなことは、わざわざ書くまでもない「当たり前のこと」だと思っています。
ですが残念ながら、こういうことまで書いておかないといけない時代になってしまいました。
正直に言えば、それを書く側の心情としては、なかなか複雑なものがあります。
事前に一言声をかけていただき、個人利用の範囲であれば、私は基本的にいつでもOKです。
遠慮なく申し出てください。
診察室では、ノートではなく、まず獣医師との会話に集中してください。
(12 投票, 平均: 1.00 / 1)