ターゲット
予め言いますがフィクションです。
ウサギについて、なんの勉強も知識もないまま、ヒトの残飯を給餌し、鳥籠のような空間に閉じ込めて、糞尿で身体が汚れたまま、長い間飼い続け
いよいよ身体に異常きたして、満足に食べれなくなったウサギを
家族が連れてきた。
本心は、ウサギに全く関心なさそうな、運転手に徹して、遅れて診察室に入ってきた父親。
基本的に間違った飼育方法を指摘され、困惑、羞恥心、責任逃れの感情に包まれてしまって赤面した母親。
可愛いから、ねだって飼ってもらったのはいいものの、興味があったのは最初だけの小学生。
最初から斜に構えて、冷めた目で私の説明を聞く高校生。
一体誰に対して説明し、説教し、指導すれば、最も彼ら全員の心に刺さって、その行い(もはや飼育とはいえない)を改めてくれるか、
考えが定まったら、ひたすらその人物だけ凝視して、ひとつひとつ確認しながら話し進める。
ひとりが真剣に向き合ってくれたら、家族全員に伝わるんじゃないかと思うから。