カラーはつけません
昨日、西方100kmからご来院いただいた患者さん、今朝、無事に退院されました。
その際、飼主さんからいただいた質問と、それに対する当院の回答を共有します。
飼主さんの質問
「術後の傷口を舐めないようにカラーをつけないんですか?」
当院の回答
「はい、つけません。カラーを装着することによるストレスが大きいと考えるためです」
ウサギは自然界では被食者として、常に周囲に注意を払う必要があります。
そのため、顔の両サイドに目があり、振り向かなくても360度の視野を確保できる構造になっています。
ウサギは「前だけ見て安心している生き物」ではありません。
このような特性を持つウサギにカラーを装着することが、どれほど精神的な負担になるかを想像すると、イヌやネコと同じ方法をそのまま当てはめることにためらいを感じます。
そのため、当院では原則としてカラーを使用せず、代わりに傷口を開けにくくする処置を施しています。
・他院での対応について
なお、これは他院でカラーを使用する方法を否定するものではありません。
他院にはそれぞれの考えがあり、それらにも利点があり尊重されるべきです。
当院の「カラーを装着しない方針」も、完璧ではなく欠点があることをご理解ください。
これはあくまでも当院独自の方針です。
ウサギの視覚について興味がある方へ
ウサギの視覚に関しては、両眼視野や立体視の観点から説明されることが多いですが、さらに詳しい新説を知りたい方には『ヒトの目、驚異の進化』という本をオススメします。
非常に興味深い内容です。
もし「難しい本を読む根気がないから、先生が簡単に教えて!」という方がいらっしゃいましたら、診察時にお気軽にお尋ねください。
そのとき私の機嫌が良くて(笑)、かつ時間に余裕があれば、簡単に解説いたします。