なんでわかるの?

ある初診の患者さんが来院された。

「◯◯病院の先生は『問題ないから放置しておいていい』と言うんだけど、心配で連れてきました」

私が診察すると、「明らかに問題あり」だった。
その点については飼主さんとも意見が一致した。
しかし、私は◯◯病院の先生のことをよく知っている。
私よりも真面目で、積極的にウサギの診療に取り組み、飼主さんへの説明も丁寧だと「想像」する。
いや、その先生とは10年以上の付き合いがあり、「想像」ではなく「確信」に近い思いがある。

一方で、この飼主さんとは初対面で、その人となりはまだ掴めない。
問診のやりとりでも要領を得ず、違和感を覚えた。
つまり、飼主さんの主張に対して少なからず、いや、大いに疑問を感じたのだ。

私は、診察にあたって馬鹿正直でいたいし、そうあるべきだと思っている。
飼主さんの言葉を鵜呑みにしたり、その気持ちを慮ることを優先すれば、治療の判断を誤り、結果として患者にとって不幸なことになりかねないからだ。

だから、そのとき抱いた疑問を、率直に飼主さんに伝えた。
最後に「腹立たしい内容でゴメンね。厳しいことを言う人間で通ってるので」と言うと、なんと返ってきたのは「わかってます」の一言。

初対面なのに、なんでわかるの?
ああ、こういう辻褄の合わない会話に、自分は違和感感じていたのだろうな。

次に診察した常連の飼主さんが、薄笑いを浮かべていた。
待合室にも、やりとりが聞こえていたのだろう。

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