ある飼主さんとの会話
もう何年も前に手術して無事生還、以後はそれまでの肥満体質を改善するべく食餌療法によって、健康的な体型への変身をも実現させたウサギとその飼主さんが、定期健診で来院した。
「せんせ〜い、最近この子、便が小さいんです〜」
「ペレット1日何グラムあげてる?」
「へ?」
「たしか術後に、せっかく手術上手くいったんだから、今度はダイエットして健康な身体にしようって、一日に食べさせるペレット、一生懸命減らして慣れさせたよね」
「・・・」
「それで、この子は最終的に1日○○gのペレットで維持していこうって決めたよね、守れてる?」
「・・・(話をすり替えて)せんせ〜い、ニンジンは食べてよかったっけ?」
「あかんっ、言うたやろっ!」
「ごめんなさい、忘れちゃった・・・」
「仕方ないな〜、再び餌をしっかり管理して、今回は消化管の薬飲ませて便を戻しましょう」
「えーっ! この子、手術したときも薬飲ませるの大変だったから無理無理っ!」
「だったら尚更、普段の餌を気をつけんかいっ」
一見虚しそうだが、このような飼主さんとの緻密な会話の積み重ねで、患者であるウサギの健康は守られているのだ。