瑕疵借り
この著者の作品初読。
瑕疵・・・という言葉知らなかった。
瑕疵(かし)とは、キズ、欠点、不動産業界では所謂「訳あり物件」のことで、そのうち事件・事故などの心理的不安から借り手がつかないのが心理的瑕疵。
その解決のため雇われた人物・藤崎達也が本物語の主人公なんだけど、本書は4つの短編集になっており、主人公ではなく、瑕疵物件事件に関わる人物の視点で物語が進んでいく。
訳あり物件、それも心理的問題ありというと一番容易に連想するのが、心霊・オカルトだろうが、本書の4話ともそれに直結する話はない。
代わりに、何らかの貧困問題と関わっていて、そこから生まれる人情話に涙を誘発された。
なかには現実感の薄い無理な設定の話(私的には第4話)もあるが、最後は気持ち良く読み終える、ボリューム的にも程良い短編集でした。