プライド

今では完全にバラエティー芸能人だが、90年代中期、最強を宣言するプロレスラーだった高田延彦の半世紀を書した「泣き虫」から14年、同著者が今度は高田、ヒクソン・グレイシー、榊原信行にスポットを当て、PRIDE1実現までの苦悩を描いた。

3者プラス、安生洋二、鈴木健に対して、延べ50時間にわたる取材を行い、「泣き虫」以上に当事者の心境を明確に再現したノンフィクションになっている。
特に高田本人がここまで心情を吐露したのは、著者による本書だけだと思うから貴重だ。

「誇り」と言うより「夢」(読み終えた私が正直に思ったのは「誇り」より、更に下部概念の「夢」だった)を賭けた男と、「命」を賭けた(それも戦いごと常に)男との差はあまりにも大きかった。

読んでないと分かりにくい話だが、最終章の鳥肌は、私には起きなかった。
だって、それとこれを同列に扱うには、全てにおいて差があり過ぎると思うので。

本書で明かした証言以外にも著者は、ヒクソンが対桜庭和志に対して発言し、榊原がPRIDEの消滅、UFCとの交渉と売却について語ったネタを持っているそうなので、是非後世に歴史を残すため次回執筆してほしい。

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